第266章

島宮奈々未は相手の言葉がさっぱり理解できなかった。声だけでは、誰なのか判別もつかない。

とはいえ、彼女を脅せる人間などそう多くない。誰であれ、善意で掛けてきた電話ではないのは確かだった。

島宮奈々未は鼻で笑う。

「大口なら誰でも叩けるわ。陰に隠れて脅し文句だけ吐くようなの、私は相手にしない。やるなら――面と向かって来なさい」

受話口の向こうが苛立ったのが分かる。声はさらに刺々しくなった。

「島宮奈々未……調子に乗るな。お前が私にしたこと、必ず返してやる」

通話の最中、島宮奈々未は視界の端に夏目秋生を捉えた。すぐに手招きし、身振りで指示する――今すぐこの番号を追え、と。

夏目秋生...

ログインして続きを読む